トランプ大統領がロシア制裁法の関税と制裁を発動前に止める
2026年10月18日 20:01
トランプ米大統領は 16 日、9 月 18 日に自ら署名して成立させた「リンジー・O・グラハム対ロシア・イラン制裁法」に基づく関税と制裁の大半を免除する大統領令に署名した [1][2]。制裁は 2 日後に発動するはずだったが、大統領令は、免除が米国の国益にかなうとする証明書を議会に出したとしている [1][2]。
大統領令はまず法律に沿って、ロシアからの輸入品の関税を 500% 上げ、ロシア産の原油や天然ガスを 18 日以降に新たに買う輸入国の上位 5 か国と、制裁逃れに手を貸す上位 5 か国からの輸入品の関税をそれぞれ 100% 上げると定め、そのうえでこれらの関税をすべて免除した [2]。法律にはプーチン大統領ら高官やロシアの金融機関、制裁を逃れて原油を運ぶ「影の船団」への制裁も盛り込まれていたが、大統領令は制裁の規定の多くについても適用を外し、免除は大統領か国務長官がさらなる対応を決めるまで続くとしている [1][2]。これまでの大統領令で科してきた対ロシア制裁は残る [2]。
ルビオ国務長官は 18 日、記者団に対し、イランとの戦争で世界のエネルギー価格が高騰していることに触れ、「大統領は 60 日をかけて、制裁と関税を科すことが世界経済や米国の経済に何をもたらすかを分析したいと考えている」と説明した [3]。法律はロシア産の原油を大量に買う中国やインドに高い関税をかける内容で、両国は反発しており、中間選挙を前に原油価格がさらに上がりかねないとの指摘も出ていた [4]。
ウクライナのゼレンスキー大統領は 17 日、米議会が与野党の支持で通した法律の効力を止めるのは誤りだと批判した [5]。
残念ながら、これがプーチンを止める方法だとは思わない。むしろ、彼はこれほどの支えを得たことを喜んでいる。
The Kyiv Independent('Putin feels joy' - Zelensky calls Trump's waiving of key Russia sanctions wrong)
ゼレンスキー氏は、ロシア軍が夜のうちにエネルギー施設 15 か所を攻撃して各地で停電が起きたことを挙げ、冬を前にロシアが大規模な停電を起こそうとしていると訴えたうえで、米国はさらに制裁を緩めるだろうとの見通しも示した [1][5]。一方、プーチン大統領の特使で投資を担当するキリル・ドミトリエフ氏は、大統領令を「重要で、まさに歴史的な瞬間」と歓迎し、制裁が発動されていれば米国と世界の市場が大きな打撃を受けていたと主張している [1]。
米議会では与野党から批判が相次ぎ、民主党のドン・バイヤー下院議員は、ロシアを罰するための法律に込めた議会の意思に背いてウクライナを裏切る行為だと非難した [4]。共和党でも、テッド・クルーズ上院議員が燃料価格を下げる方法はほかにあるとして誤りだと述べ、ジョン・コーニン上院議員は「無謀」、トム・ティリス上院議員は「無責任どころではない」と批判している [1]。法律の名前は、議会でこの法案を主導した故リンジー・グラハム上院議員にちなむ [4]。
トランプ政権は先週、ロシア産の軽油を輸入する取引にも踏み切っており、ウクライナとの関係は冷え込んでいる [1]。トランプ氏がゼレンスキー氏をプーチン氏より「扱いにくい」と評したのに対し、ゼレンスキー氏は欧州連合の首脳会議で「本物の指導者」と同席できてうれしいと述べていた [1]。
参考文献
- [1]BBC News(Trump waives several Russia sanctions as row with Zelensky intensifies)
- [2]The White House(Implementing the Lindsey O. Graham Sanctioning Russia and Iran Act of 2026)
- [3]The Kyiv Independent(Marco Rubio says Trump's Russian oil sanctions waiver is a '60-day pause,' denies restricting Starlink access)
- [4]The Moscow Times(Trump Signs Order Exempting Russia From New Sanctions Legislation)
- [5]The Kyiv Independent('Putin feels joy' - Zelensky calls Trump's waiving of key Russia sanctions wrong)