環境省、メガソーラー対策で釧路湿原国立公園の区域を拡張へ
2026年10月25日 16:05
環境省は 23 日、北海道東部の釧路湿原国立公園の区域を広げる変更案を公表し、11 月 21 日まで一般から意見を募っている [1]。変更案では公園の面積が 2444 ヘクタール増えて 3 万 1098 ヘクタールになり、中央環境審議会の答申を経て 2027 年 3 月に拡張する見通しである [2][3]。
産経新聞によると、拡張は政府が 2025 年 12 月にまとめた大規模太陽光発電所(メガソーラー)の開発規制策の一環で、ラムサール条約に登録された湿地や国の特別天然記念物タンチョウのすみかを守る狙いがある [2]。すでに着工している発電施設には新たな規制が及ばず、複数の法令違反が指摘されているメガソーラーの建設地は、国立公園の基準を満たさないとして拡張する区域から外れた [2]。原則として現状の変更を認めない最も厳しい「特別保護地区」も、732 ヘクタール増えて 7188 ヘクタールになる [2][3]。
拡張するのは釧路市、釧路町、鶴居村の 6 か所で、最も広いのは釧路市の北斗や鶴野などにまたがる 1202 ヘクタールである [3]。環境省は、既存の区域に隣接する良好な低層湿原で多様な野生生物が暮らしていることに加え、主な展望地からの眺めを一体で守る必要があるとしている [3]。鶴居村ではツルワシナイ川の上流域を含む 407 ヘクタールを、湿原の富栄養化や土砂の流入を抑えるために加え、かつて農地として開発された幌呂地区でも、使われなくなった土地を湿原に戻してハンノキの成長を抑える取り組みが進む 137 ヘクタールを編入する [3]。一方、釧路町の 154 ヘクタールは土地利用が変わって質が落ちたとして公園から外し、差し引きで増える 2444 ヘクタールのうち 1471 ヘクタールは私有地が占める [3]。
1987 年 7 月に指定された釧路湿原国立公園は、国内最大の湿原である釧路湿原を中心に釧路市など 4 市町村にまたがり、湿原は 1980 年に国内で初めてラムサール条約の登録湿地となった [1][4]。環境省は報道発表で、湿原の価値を次のように説明している [1]。
釧路湿原は、高層、中間、及び低層湿原それぞれに特徴的な植生がみられるほか、タンチョウやキタサンショウウオ等の貴重な野生生物の生息地となっていることから、生物多様性の保全上も極めて重要な湿原です。湿原の主要部は、ラムサール条約の登録湿地でもあり、国際的にも重要な湿原と位置付けられています。
環境省(釧路湿原国立公園の公園区域及び公園計画の変更[第2次点検]に関する意見の募集(パブリック・コメント)について)
今回の見直しは、2011 年の第 1 次点検から 10 年以上がたち、公園を取り巻く自然や社会の条件が変わったことを受けたものだ [1]。湿原の面積が減ってハンノキ林が増える問題に対しては、すでに湿原の再生や川の蛇行を元に戻す自然再生事業が行われており、近年はカヌーや乗馬で湿原を巡る使い方も見られるようになった [1]。地元の釧路市も「釧路市自然と太陽光発電施設の調和に関する条例」を設け、申請のあった太陽光発電事業の手続きの状況を公表している [5]。
参考文献
- [1]環境省(釧路湿原国立公園の公園区域及び公園計画の変更[第2次点検]に関する意見の募集(パブリック・コメント)について)
- [2]産経ニュース(メガソーラー開発を規制 環境省、北海道の釧路湿原国立公園の区域を拡張へ)
- [3]環境省(釧路湿原国立公園 公園区域及び公園計画変更書[第2次点検](環境省原案))
- [4]ウィキペディア(釧路湿原国立公園)
- [5]釧路市(太陽光発電事業について)