火星衛星探査機 MMX が初期の重要な運用を終える、2031 年にフォボスの砂を地球へ
2026年10月21日 19:39
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は 21 日、前日に打ち上げた火星衛星探査機 MMX について、太陽電池パドルの展開や 3 軸の姿勢の確立など初期の重要な手順が正常に進み、探査機が健全であることを確かめたと発表した [1]。これで打ち上げ直後の「初期クリティカル運用フェーズ」を終え、搭載した機器の機能を確かめながら、火星へ向かう巡航の準備に移る [1]。
MMX を載せた H3 ロケット 10 号機は 20 日午前 4 時 41 分 03 秒に種子島宇宙センターから打ち上げられ、計画どおりに飛んで、約 1 時間 11 分 13 秒後に探査機を正常に分離した [2]。火星の衛星フォボスから砂などの試料を持ち帰る日本主導の国際共同探査で、2031 年 7 月に地球へ戻る予定であり、成功すれば火星の周りの天体から試料を持ち帰る世界で初めての例になる [3]。
計画では、探査機は 2027 年 8 月に火星を回る軌道に入ってフォボスへ移り、2029 年に小型の探査車をフォボスの表面に降ろしたあと、2030 年に自ら 1、2 回着陸して少なくとも 10 グラムの表層の試料を採る [4]。もう一つの衛星ダイモスの近くを通って観測し、火星の大気も調べる予定で、二つの衛星が小惑星を火星の重力がとらえたものなのか、火星に大きな天体がぶつかってできたものなのかを見分ける手がかりを得たい考えだ [4]。米航空宇宙局(NASA)やフランス国立宇宙研究センター(CNES)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)、欧州宇宙機関(ESA)が観測機器や通信機器を提供し、NASA はガンマ線と中性子を測る分光計を載せている [4]。
打ち上げは当初 2024 年度の予定だったが、H3 の 1 号機が 2023 年 3 月に打ち上げに失敗し、燃料を少なく抑えて火星へ向かえる機会が 2 年に 1 度しかないため、2026 年度に延びた [5]。H3 は 2025 年 12 月にも打ち上げに失敗し、JAXA は半年で原因を突き止めて今年 6 月に打ち上げを再開したばかりだった [5]。読売新聞によると、H3 の有田誠プロジェクトマネージャは 20 日の記者会見で、探査機の分離を確かめた瞬間の気持ちをこう語る [5]。
分離する信号が届いた瞬間、息が抜けた。安堵すると同時に肩の荷が下りた。
読売新聞(「H3」2度の打ち上げ失敗克服、MMXいざ火星へ「2年お待たせした」…責任者そろって記者会見し笑顔)
米国の宇宙専門紙スペースニュースは、火星の衛星から試料を持ち帰ろうとする初めての探査だと伝えている [6]。MMX の川勝康弘プロジェクトマネージャは管制室で打ち上げを見守り、記者会見で「緊張はあったが、大船に乗った気持ちで楽しめた」と笑顔を見せた [5]。
参考文献
- [1]JAXA(火星衛星探査機(MMX)の初期クリティカル運用フェーズ終了)
- [2]JAXA(H3 ロケット 10 号機による火星衛星探査機(MMX)の打上げ結果)
- [3]共同通信(火星衛星探査機打ち上げ MMX、H3ロケットで)
- [4]Wikipedia(Martian Moons eXploration)
- [5]読売新聞(「H3」2度の打ち上げ失敗克服、MMXいざ火星へ「2年お待たせした」…責任者そろって記者会見し笑顔)
- [6]SpaceNews(Japan launches sample-return mission to Martian moon Phobos)