ロシアとウクライナがオレシュキでの局地停戦に合意、メラニア夫人が仲介
2026年10月25日 15:52
ロシア軍の占領下で孤立し、食料や医薬品が尽きかけているウクライナ南部ヘルソン州オレシュキで、ロシアとウクライナが局地的な停戦に合意した [1][2]。ホワイトハウスは 23 日、トランプ大統領の妻メラニア夫人が両国の指導部と直接やり取りして条件をまとめたと発表した [1]。ロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長は、日本時間 27 日午前 10 時にあたる現地時間午前 4 時に射撃を止めると国防省のテレグラムのチャンネルで表明し、ウクライナ軍参謀本部も同じ時刻から停戦を守るとしている [2][3]。
ホワイトハウスの声明によると、両国はオレシュキでのあらゆる軍事行動を一時的に止めて人道支援物資を運び込み、指定した安全な通路を通じて民間人を避難させる準備を進める [1]。軍人ではない両国の文民の代表が住民の家を回って必要な支援を見極め、避難を望む人にはロシアかウクライナか本人が選んだ行き先までの移動を手配するといい、公平な立場の米国の報道機関が現地に同行して手続きを記録するとしている [1]。もっとも、声明は停戦の始まりを 29 日としており、両軍が示した 27 日とは食い違う [1][3]。
オレシュキの状況は悲惨だ。オレシュキは破滅の瀬戸際にある最前線の戦地の町だ。オレシュキに残る住民は主に高齢者で、治療と医薬品、食料、きれいな水を緊急に必要としている。
The White House(First Lady Melania Trump Secures Ceasefire Between Russia and Ukraine, Localized to Oleshky)
オレシュキはドニプロ川をはさんでウクライナ側が押さえる州都ヘルソンの対岸にあり、全面侵攻が始まった 2022 年 2 月 24 日にロシア軍に占領された [3][4]。2023 年 6 月にカホフカ・ダムが壊れたときには町のほぼ全体が水につかり、ホワイトハウスは町の面積のおよそ 9 割が浸水したとしている [1][4]。侵攻前に約 2 万 4000 人だった住民は、ホワイトハウスの推計で 1700〜2000 人まで減っており、多くは逃げられなかった高齢者で、子どもも約 50 人いる [1]。ウクライナ政府の見方はこれより多く、周辺を含めて約 6000 人、うち子ども 200 人が残っているという [3]。
2023 年からガスも電気も止まった町では店がすべて閉まり、BBC が 9 月に話を聞いた住民は、最後に食料が届いたのは 5 月で、庭の雑草をゆでて食べる人が多いと語っていた [5]。9 月 20 日には隣町から食料を持ち帰ろうとした夫婦が無人機に襲われて亡くなっており、地雷の埋まった道を通って町を出ようとする人も、たびたび無人機に狙われてきた [5][6]。ウクライナのシビハ外相はロシア軍による「完全な封鎖」だと非難し、ロシア大統領府も 9 月に「危機的な状況」にあると認めたが、原因はウクライナにあるとした [3][5]。
ウクライナ側の交渉責任者を務める最高会議(議会)のドミトロ・ルビネツ人権問題全権代表は 24 日、共同通信の取材に、局地的な停戦が成功すれば広い範囲で戦闘を止めるための「新たな機会になる」と述べ、町へ通じる道の地雷を除いてから食料や水などを運び込み、避難を望む住民を移す段取りを説明した [7]。停戦の範囲は、ルビネツ氏が「ヘルソン州全域と人道支援物資の輸送で使用する地域」と語る一方で、ロシア軍は「オレシュキを含むヘルソン州方面」としている [7]。ゼレンスキー大統領は 24 日のビデオ演説で、オレシュキをめぐる取り決めに触れて次のように述べた [8]。
この人道作戦が実行され、オレシュキへの通行が開かれ、食料と医薬品が運び込まれて、人々がこの戦闘地域を離れられることを願っている。私たちはこの件をしばらく前から、さまざまなレベルで交渉してきた。ウクライナは自らの役割を果たす。米国の仲介が機能することを期待している。
President of Ukraine(Starlink and Starshield Operations Have Been Restored to the Speeds We Had Before All the Restrictions - Address by the President)
ロシア側では、プーチン大統領の報道官も、望む人は町を離れられると認めた [3]。プーチン氏はトランプ氏とオレシュキの状況を話し合っていたほか、16 日にはローマ教皇レオ 14 世との電話会談で、住民に物資を届けるバチカンの取り組みを支持すると伝えており、教皇はこの会談のあとに停戦を呼びかけていた [2][6]。欧州議会のピナ・ピチエルノ副議長も 20 日から即時の人道的な停戦を求めてハンガーストライキを続けていたが、合意を受けて打ち切った [6]。
メラニア夫人はこれまでも、戦争で引き離されたウクライナとロシアの子どもを家族のもとへ帰す取り組みに関わってきた [3]。声明によれば、今回も 6 回にわたって子ども 34 人を再会させたときに両国と築いた連絡の経路を使い、地雷の除去を含む細かな手順を両国の担当者が詰めたという [1]。和平に向けては、米ロとウクライナの 3 か国が 11 月前半にアブダビで実務者の協議を開くことで一致したとゼレンスキー氏が明らかにしたが、2 月に止まった米国主導の協議では、ロシアがドンバス地方全体の割譲を求め、ウクライナは応じていない [2]。
参考文献
- [1]The White House(First Lady Melania Trump Secures Ceasefire Between Russia and Ukraine, Localized to Oleshky)
- [2]The Moscow Times(Russia, Ukraine Agree on Ceasefire in Embattled Oleshky, Plan New Peace Talks Next Month)
- [3]BBC(White House says Melania Trump brokers truce for Ukraine city 'on brink of disaster')
- [4]Wikipedia(Oleshky)
- [5]BBC(Oleshky: Eating garden weeds to survive in Russian-occupied city cut off from food and water)
- [6]The Kyiv Independent(European Parliament Vice President ends hunger strike following Oleshky ceasefire announcement)
- [7]共同通信(局地停戦「成功」なら範囲拡大 ウクライナ交渉責任者期待)
- [8]President of Ukraine(Starlink and Starshield Operations Have Been Restored to the Speeds We Had Before All the Restrictions - Address by the President)