日本製鉄傘下の US スチールが米製鉄所に約 30 億ドルを投資、生産能力は 6 割増に
2026年10月23日 06:59
日本製鉄傘下の米鉄鋼大手 US スチールは 22 日、本社を置くピッツバーグ近郊のモンバレー製鉄所エドガー・トムソン工場に、およそ 30 億ドル(約 4700 億円)を投じて熱延工場を新しく建てると発表した [1][2]。取締役会が必要な資金の全額を承認したもので、老朽化した設備を最新の技術に置き換え、年間の生産能力をおよそ 220 万トンから 350 万トンへ 6 割ほど引き上げる [1][2]。
熱延工場は、スラブと呼ばれる鋼の塊を加熱して延ばし、薄い鋼板を巻いたコイルにする設備で、その鋼板は自動車や家電、建設資材などに使われる [1][2]。新しい工場では加熱炉とスラブの幅を整えるプレスを一新して燃料や切り落とす材料を減らし、つくれる鋼材の種類も広げるといい、必要な許可が下りれば建設に入り、2029 年後半に生産を始める見込みだ [1]。
デビッド・ブリット社長兼最高経営責任者は「何世代にもわたって、モンバレーはアメリカを築き、鉄鋼はここで人々の暮らしを築いてきた」と述べ、地元への投資の意味をこう強調した [1]。
投資が会社と地域の歩みを変える瞬間というものがある。今がその一つである。
U. S. Steel(U. S. STEEL BOARD AUTHORIZES NEARLY $3 BILLION INVESTMENT IN NEW HOT STRIP MILL AT MON VALLEY WORKS)
調査会社パーカー・ストラテジー・グループの試算では、この事業はペンシルベニア州で 5100〜6300 人分の雇用を支え、3 年間で 4600 万〜5800 万ドルの州と地元の税収を生む [1]。ジョシュ・シャピロ州知事は、何千もの雇用を州にとどめる投資だと歓迎し、共和党のデーブ・マコーミック上院議員は、US スチールと日本製鉄の提携で交わした約束を果たす大きな一歩だと評価している [1]。US スチールは 6 月に、モンバレー製鉄所への最大 25 億ドルの投資計画について経済効果の分析を公表していた [3]。
CBS ピッツバーグによると、新しい工場はウェストミフリンにあるアービン工場の熱延設備に代わるもので、アレゲニー郡の保健当局の評価では、郡内での US スチールの汚染は全体として減る一方、エドガー・トムソン工場からの微小粒子の排出は 4 割以上増える [4]。郡は連邦の大気汚染の基準を超えることはないとみており、大気の許可をめぐる公聴会は 11 月 10 日に開かれる予定である [4]。
日本製鉄は米国の鋼材の需要を取り込もうと、US スチールへの投資と技術の投入に力を入れている [2]。日本製鉄の発表によると、今年は 4 月に US スチールが電炉ミニミルに直接還元鉄の製造設備を設ける投資を決め、9 月には欧州の拠点であるスロバキアのコシツェ製鉄所で 9 億ユーロの投資が決まっている [5]。
参考文献
- [1]U. S. Steel(U. S. STEEL BOARD AUTHORIZES NEARLY $3 BILLION INVESTMENT IN NEW HOT STRIP MILL AT MON VALLEY WORKS)
- [2]共同通信(日鉄、米製鉄所に 4700 億円 生産増強へ設備投資)
- [3]U. S. Steel(Media - Newsroom)
- [4]CBS Pittsburgh(U.S. Steel to invest more than $2 billion in new hot strip mill in Braddock)
- [5]日本製鉄(ニュースリリース:2026 年)